「うちの夫、ゴミ出しはやってくれるけど、袋の交換とか分別とか、結局全部私がやってるんだよね……」
そんな声をSNSや友人との会話で聞いたことがある人は多いはず。実際のところ、これは一部の家庭だけの話なのか、それとも多くの夫婦に共通する「あるある」なのか。今回は各種調査データをもとに、その実態を確認しつつ、無理なく改善していくためのヒントをまとめました。
「ゴミ出し=夫の家事」はデータでも裏付けられている
まず前提として、「ゴミ出しは夫の担当」という認識は、複数の調査で一貫して確認できます。
- 一条工務店が2024年に共働き夫婦673名を対象に行った調査では、男性が「自分が主に担当している家事」として最も多く挙げたのが「ゴミ出し」で、約8割が回答しています。
- アイスタットが2024年に実施した共働き夫婦向けの調査でも、夫が「常に行っている家事」の1位は同じく「ゴミ出し」でした。
- 国立社会保障・人口問題研究所の「第7回全国家庭動向調査」では、夫が週1〜2回以上行う家事のうち最も割合が高かったのが「ゴミ出し」(57.7%)という結果です。
つまり「夫の家事といえばゴミ出し」というのは、印象論ではなく複数の統計に共通して表れる傾向だと言えます。
ただし「運ぶだけ」になりがちなのも事実
一方で、同じ国立社会保障・人口問題研究所の「第6回全国家庭動向調査」(2018年)を見ると、少し違う景色が見えてきます。
- 「夫がゴミ出しをやっている」と答えた妻は約半数にとどまります(=妻側の実感としては、夫調査ほど高くない)。
- そして、「ゴミを分類してまとめる」という作業については、76%の割合で妻が主導して行っているという結果が出ています。
ここに、いわゆる「名もなき家事」の問題が関わってきます。「ゴミ出し」とひとくくりに言っても、実際には複数の工程に分解できます。
- ゴミ箱・ゴミ袋を用意する(買い足しを含む)
- 各部屋・各ゴミ箱でゴミを分別する
- たまったゴミを袋にまとめる、口を縛る
- 新しい袋をセットする
- 収集日を把握し、指定の場所へ運ぶ
このうち、夫が担っているのは主に⑤の「運ぶ」工程だけ、というケースが少なくありません。①〜④の「準備」にあたる部分は、家事として認識されにくいまま妻側に偏りやすい、というのが実態のようです。
夫からすれば「毎回ちゃんと出している」という感覚があり、妻からすれば「出す前の面倒な部分は全部自分」という感覚がある。ここに数字の上でも体感の上でもズレが生まれているわけです。
家事分担の満足度にも大きな差
このズレは、満足度の調査結果にも表れています。一条工務店の調査(2024年)によれば、家事分担の割合について「満足」と答えた人は男性で約86%だったのに対し、女性では約54%にとどまりました。また、女性の68.1%が「家事の7割以上を自分が担当している」と回答しています。
配偶者の家事に点数をつけてもらう質問でも、80点以上とつけた男性は約7割だった一方、女性は約3割程度。女性が低い点数をつけた理由の1位は「言わないとやらない」で、6割の女性が挙げていました。
つまり「ゴミ出しはやっている」という自己評価と、「準備から出すまでの一連の負担」を担っている実感との間に、夫婦間でギャップが生まれやすい構造がある、と言えそうです。
なぜこのズレが起きるのか
原因として考えられるのは、主に次の3つです。
① 工程が細分化されていない 「ゴミ出し」という言葉が指す範囲が曖昧なまま、「出す」という一番目立つ行動だけで「やっている/やっていない」を判断してしまいがちです。
② 家事分担のルールを決めていない夫婦が多い 一条工務店の同調査では、家事分担のルールを明確に決めている夫婦は27.8%にとどまり、7割以上が「なんとなく」の分担になっていることが分かっています。ルールがないと、目につきやすい作業だけが「担当」として固定化されやすくなります。
③ 話し合う機会自体が少ない 共働きで忙しいと、家事分担について立ち止まって話す時間が取りにくく、不満が積もってから初めて表面化する、というパターンも起きやすくなります。
今日からできる改善のヒント
ここからは「家事しんどい」を少しでも軽くするための、具体的な工夫です。
① ゴミ出しを工程ごとに書き出して「見える化」する 上記の①〜⑤の工程を紙やアプリで書き出し、どこまでを誰が担当しているかを夫婦で確認するところから始めると、認識のズレに気づきやすくなります。「運ぶ」以外にもやることがある、という事実を共有するだけでも変化のきっかけになります。
② 「準備」の工程も分担・交代制にする 「収集日前日にゴミ袋をまとめるのは自分、当日運ぶのは相手」のように、工程単位で分担を決めると、負担が一箇所に偏りにくくなります。曜日ごとの当番制にするのも一つの方法です。
③ 分別・保管をラクにする仕組みを整える 分別しやすいゴミ箱や、袋の交換がしやすい設計のダストボックスなど、準備の手間そのものを減らすグッズを取り入れると、「誰がやっても負担が軽い」状態に近づきます。誰か一人のスキルや気配りに頼らない仕組みづくりは、共働き家庭では特に効果が出やすいポイントです。
④ 家事分担について定期的に話す場を持つ 一条工務店の調査では、家事分担のルールを決めている夫婦のうち8割以上が「ルールを守れている」と回答しています。厳密なルールでなくても、「最近ゴミ出し大変じゃない?」と月に一度でも確認し合うだけで、負担の偏りに早く気づけます。
⑤ 「特にない」で終わらせない 同調査では、配偶者にもっと担当してほしい家事について、男性の半数以上が「特にない」と回答しています。これは裏を返せば、相手の負担に気づきにくい構造がある、ということでもあります。「自分は何を見落としているか」を意識的に聞いてみる姿勢が、ズレの解消につながります。
まとめ
- 「夫の家事=ゴミ出し」という傾向は、複数の調査で共通して確認できる
- ただし「分別・まとめる」といった準備工程は妻側に偏りやすく(約76%)、「運ぶだけ」になりがちなのも事実
- 背景には、工程の見えにくさ・ルール未整備・話し合い不足がある
- 工程の見える化、担当の交代、仕組みでの負担軽減、定期的な対話が改善の糸口になる
「ゴミ出し」という一つの家事の中にも、これだけの段差があります。小さなところから工程を分解して見直していくことが、「家事しんどい」を減らす第一歩になりそうです。
参考にした調査:
- 株式会社一条工務店「共働き夫婦の家事シェアに関する意識調査2024」(PR TIMES / 一条工務店 調査ページ)
- 株式会社アイスタット「共働き夫婦の家事に関するアンケート調査」2024年5月(istat.jp)
- 国立社会保障・人口問題研究所「第7回全国家庭動向調査」概要版(ipss.go.jp)
- 国立社会保障・人口問題研究所「第6回全国家庭動向調査」(調査トップページ / データの解説:キャリアリカバリー)

コメント