「うちの夫の家事、ゴミ出しだけなんです」——そんな声をよく耳にします。実際のところ、家事分担の調査でも「夫が最も担当している家事」の1位は毎回のように「ゴミ出し」。今回はその理由と、そこに潜む夫婦間の温度差についてリサーチしてみました。
データで見る「夫の家事=ゴミ出し」
複数の調査が同じ傾向を示しています。
- 共働き夫婦を対象にしたある調査では、女性が主に担当する家事の1位は「料理」だったのに対し、男性が主に担当する家事の1位は「ゴミ出し」で、約8割の男性が回答した。
- 別の調査でも同様に、常に行っている家事について、妻の1位が「食事のしたく・料理」なのに対し、夫の1位は「ゴミ出し」という結果だった。
- 国の調査でも傾向は一致していて、夫が「週に1〜2回」以上行う頻度が高い家事は「ゴミ出し」が57.7%でトップとなり、「日常の買い物」「食後の片付け」が続く一方、「部屋の掃除」や「炊事」は夫の実施率が低い。
- 民間の統計サイトの集計でも、夫が最も参加度合いの高い家事はゴミ出しで、夫が週1回以上ゴミ出しをする世帯は全体の45.3%にのぼるという結果が出ています。
つまり「ゴミ出しは夫の仕事」というのは、個々の家庭の感覚ではなく、統計的にもかなり一貫した傾向だと言えそうです。
なぜゴミ出しは夫に回ってくるのか
理由をいくつかの角度から整理してみます。
① 出勤のタイミングと重なりやすい
自治体のゴミ出しは朝6時や7時から、遅くとも7〜8時頃までに出すルールが多い自治体が一般的です。ちょうど出勤前後の時間帯にあたるため、家を出るついでに持って行きやすいタスクになっています。
② ゴミ出しの時間指定・ルールが「作業」として切り出しやすい
そもそもゴミ出しの時間が朝に限定されているのには理由があります。ゴミが長時間外に放置されるとカラスや猫に荒らされる可能性があるため、収集直前に出すルールが設けられているケースが多く、地域によってはカラス対策・景観対策・収集車による渋滞回避といった理由から時間帯が細かく決められているそうです。この「決まった時間に、決まった作業をする」という性質が、他の家事に比べて分担しやすい・頼みやすい理由の一つと考えられます。
③ 「重い・力仕事」というイメージ
ゴミ袋、特に燃えるゴミの日は袋がかさばり重くなりがちです。実際の調査アンケートの自由回答でも、「朝起きてすぐ捨てに行くので夫では間に合わない」という時間的な理由から、「世間体」まで様々な理由でゴミ出しを自分(妻)がやっているという回答がある一方、「通勤がてらに出してくれる」「朝出るときにそのまま出せるから」といった声も見られ、夫側の担当理由としては「通勤ルートに組み込める」ことが大きいようです。
「ゴミ出しだけ」への妻側の不満
一方で、ゴミ出しが夫の“唯一の家事”になっていることへの不満も少なくありません。
分別・準備は妻がやっている問題
ある家事アンケートの自由回答では、夫は「ゴミ出しをしている」と言うが、実際にゴミを集めて分別しているのは自分(妻)であり、夫がやっているのはゴミを集積所に運ぶだけの「移動作業」にすぎないという指摘がありました。ゴミ出しは「①ゴミ袋を買う→②分別する→③まとめる→④出す」という複数の工程からなる作業で、夫が担っているのはそのうち最後の一工程だけ、というケースが多いようです。
「名もなき家事」との認識のズレ
これは「名もなき家事」というキーワードでよく語られる問題でもあります。ある調査では、妻の期待に対して夫の取り組みが最も不足していると感じられているのは「名もなき家事全般」で、買い物やゴミ出しの前段階にあたる、必要なものをチェックしたり、ゴミを集めて分別したり、消耗品を補充したりといった細々とした作業がこれに含まれるとされています。一つひとつは小さな作業でも、それらをすべて妻が担うと積み重なって大きな負担になる、という指摘です。
別のメディアの取材でも、「朝の出勤時にゴミ出しをやっているよ」と胸を張る男性は多いが、ゴミ袋を集積所に持っていくだけが家事のすべてではないという趣旨の指摘があり、ゴミ箱の掃除や袋のセット、段ボールの解体・分別といった周辺作業が見落とされがちだという声が紹介されていました。
まとめ:「運ぶ」だけでなく「工程」で見る
ゴミ出しが夫の担当になりやすいのは、時間帯が出勤と重なりやすく、作業内容や締め切りが明確でタスク化しやすいという合理的な理由がある一方、そのシンプルさゆえに「これだけやっていれば家事分担できている」という認識のズレを生みやすい家事でもあるようです。
改善のヒントとしては、ゴミ出しを「運ぶ」の一工程だけでなく、「買う→分別する→まとめる→出す」という一連のプロセスとして家族で共有し、どこまでを誰が担当するかを話し合ってみることが、すれ違いを減らす第一歩になりそうです。

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